篠田節子(集英社文庫,2004年)
評価:☆☆☆
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妻の通勤用文庫.
40を目前とした出版社勤務の女性が,キプロス島へ旅行企画記事の取材に出かけることになり,同行したカメラマンと取材を続けるうちに,民族紛争にまきこまれというお話.
女性の主人公の人物造形は,丁寧な取材に基づくディテールにこだわった描写がされている.
きわめて典型的で平凡な現代の都市の女性.
この女性が,紛争という非現実にまきこまれつつも,その日常的リアリティはずっとたもち続けたままである.
ある種の冒険小説なのだが,海外での非日常的事件はすべてこの女性の視点から語られ,日常性に変換される.その淡々としたリアリティが心地よい.
骨太な小説ではあるものの,疲れを感じさせないというか.