閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

夜を賭けて

ビデオでの観賞。新宿梁山泊主宰の金守珍による梁石日作品の映画化作品ということで関心を持つ。金守珍と梁石日は友人同士でもあり、梁石日の小説にも金がモデルと思われる演劇人が登場する。
善くも悪しくも実に演劇的な映画となった。映像的には映画的特性を意識したロングの美しいショットがあるのだけれども、役者の演技の演出がいささかオーバーアクションで類型的な演劇スタイル。あとやたら乱闘シーンが目に付く映画でもあった。原作にあった様々な主題を場面場面でできる限り盛り込もうとしたためか、各シーンのつながりや印象が弱くなってしまった。派手で暑苦しいけれども、ドラマに乏しい。
最後のほうではメロドラマ色が強調されるが、いっそのこと恋愛に的をしぼったほうが、濃厚でグロテスクな梁山泊的演出が生きたかもしれない。
山本太郎の暑苦しい演技は嫌いじゃない。