香港,1993年
- 監督:チェン・カイコー
- 脚本:リー・ピクワー
- 原作:リー・ピクワー、ルー・ウェイ
- 撮影:クー・チャンウェイ
- 美術:ヤン・ユーフー、ヤン・チャンチア
- 音楽:チャオ・チーピン
- 出演:レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー、ルォ・ツァイ
- 評価:☆☆☆☆☆
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
先日鑑賞した京劇ショックの余波で、最近読んだ京劇の入門書の中で紹介されていたこの作品を借りる。日中戦争、共産党と国民党の抗争、文化大革命などの激動の時代に翻弄される京劇俳優の姿を描く大河ドラマ。京劇の古典作品である『覇王別姫』のモチーフを巧みにもりこみつつ、少年時代から苦労をともにし肉親以上の絆で結ばれた女形俳優と男優の同性愛的関係に、男優の妻となる元遊女の女性をからめ、濃厚な三角関係でドラマを作る。誇り高く極めて強い意志のもとで自分の人生をコントロールしようとする三名の人物だが、時代の強烈な動きにゆさぶられぼろぼろに傷ついていく。青年時代には気概のある反骨精神を常に失わず、圧力に屈しなかった男優が、文化大革命の狂気の中でもろくも自分の生き様、愛する人物を自虐的に否定してしまう悲しさに心打たれる。誇りを捨てた彼はこの裏切りによって妻を失ってしまう。
3時間弱の大作。こうした大河ドラマはどちらかというと苦手なのだけど、この作品のドラマ展開、壮大な映像美には時間を忘れてひきこまれる。『覇王別姫』の舞台の挿入の仕方もうまい。