http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-32.html
- 原作:ポール・オースター
- 翻訳:柴田元幸
- 構成:台本・演出:白井晃
- 美術:二村周作
- 照明:齋藤茂男
- 出演:仲村トオル、小栗旬、三上市朗、大森博史、小宮孝泰、山田麻衣子、櫻井章喜、月影瞳
- 劇場:三軒茶屋 世田谷パブリックシアター
- 評価:☆☆☆
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上演時間二時間十分。極めて洗練された照明の見事さには魅了されるものの一時間半は眠気との格闘が続く。トータルで三十分ほど半睡状態。劇場は立ち見も出る盛況。観客の95%は女性だった。仲村トオルの人気かそれとも小栗旬の人気か、あるいはその両方か。
七月に新国立で観た『うら騒ぎ』がとても面白かったので、白井晃演出作品ということでこの公演を観に行くことにしたのだ.原作者のポール・オースターについては名前を聞いたことがある程度の知識しかない。お話自体はカフカ風味の感じられるスマートな現代的寓話であり、解釈欲をそそられる内容ではある。
舞台美術と照明の抽象性と具象性のバランスのとれた造形は、観客の想像力を大いに刺激する。
ひっかかるのは主演の仲村トオルだった。あまりに記号的な意味合いにおいて男臭く格好良すぎる俳優。満員の劇場が彼の存在に大きく負っているのであれば彼の起用は成功であると言えるだろうが、くぐもるような鼻にかかったいかにも「格好のよい」男が格好つけて喋っているような台詞回しの単調さ、演技の一本調子は、物語の奥行きを薄っぺらいものにしてしまっているように僕には思えた。何か白けるくらい格好いいのだ、彼の風貌と振る舞いは。
せっかくの好素材がうまく生かし切れていないような感じで不満が残る舞台だった。演出家・役者によるアフタートークもあったが、そちらは聞かずに劇場を出る。