http://www.kunauka.or.jp/jp/index.htm
- 原作:シェイクスピア
- 謡曲台本:平川祐弘
- 演出:宮城聰
- 間狂言:小田島雄志訳による
- 照明:大迫浩二
- 衣裳:高橋佳代
- 出演:美加理、阿部一徳、中野真希、大高浩一、大道無門優也
- 場所:東京国立博物館 日本庭園 特設能舞台
- 評価:☆☆☆☆
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公演タイトルにあるように能形式に再構成された『オセロー』をク・ナウカのスタイルで上演。国立博物館本館裏手の日本庭園を背景に設置された能舞台での上演。この背景は最後のシーンで効果的に浮かび上がる。野外上演のため、外の音もよく聞こえる。山手線がすぐそばを走っているため電車の音が時折聞こえてくる。特に上演直前、役者と囃子方が入場しはじめて、舞台客席ともにしんと静まりかえったときに聞こえてくる電車の音は情緒的に響く。衣裳はデザインは能装束をモチーフとしていたものだったが、素材は透明のビニール。雨合羽もしくは宇宙服のような感じで安っぽく見えた。
ク・ナウカの上演だけあって、面白くないわけではない。一時間半それなりに愉しんだことは愉しんだが、今回の公演は宮城聰もしくはク・ナウカの様式というよりはむしろ女優美加理の魅力で作品を観た感じ。もちろん美加理の魅力は、演出プランの中に織り込みのはずで全体から分離させるものではないのだけど。
『オセロー』という題材は今回の能形式とク・ナウカ様式の折衷の中ですっきりしたかたちでは消化されていないような印象を持った。原作の濃密なエピソードがそぎ落とされてスリムになった『オセロー』には物足りなさも感じた。
少なくとも僕にとっては、美加理の強烈な存在感あってこそのク・ナウカの『オセロー』。体調の問題もあったのだが前半はおそってくる睡魔と格闘。
それなりに愉しみつつも、ク・ナウカには期待値がもともと高いので若干不満も感じる公演だった。
客席は三百人弱か。ブロック別に整理番号順に整列してから、客席に案内される。受付ではカイロが配布される。今日は夜かなり冷え込んだのでカイロが役に立った。客席には毛布あり。三人で一枚の毛布を共有。見知らぬ他人との毛布共有はやはりちょっと抵抗感を感じる。僕の隣は一人で来ている女性だったけど、当然ちょっとひいた感じ。でも今日はけっこう寒かったので毛布はありがたかった。客席付近にはトイレがない。客席もいったん座ってしまうと外に出にくい配置なので、入場前のトイレは必須。