閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

日向嶋景清(にむかうしまのかげきよ)

景清は平家の残党で源氏に最後まで抵抗した反骨の武士。頼朝を討つことができず、自ら両眼をつぶしひっそりと日向嶋で暮らしている。そこに行き分けれた娘がやってくる。
原作は人形浄瑠璃だが、歌舞伎版は吉右衛門による新作。古典の武家物の雰囲気をそのまま踏襲している。擬古典調であっても現代に翻案された作品だけに新味を期待したけれど、親子の情愛を封建社会的な美徳観から描くかびくさい話だった。こうした親子の「孝」の称揚は歌舞伎作品ではやたらと出てくるが、現代の目から見ると子供の側が不当に、いや不条理なまでに、犠牲になっているように思える。
すっきりと整理された展開。ひっかかりに乏しくしばしば意識を失いそうになる。