閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

マリアへのお告げ L'Annonce faite a Marie

http://us.imdb.com/title/tt0137358/

ポール・クローデル没後50年ということで、クローデル関係の催しがいくつかある。
日仏学院でClaudel原作、Manoel de Oliveira監督の七時間の大作『繻子の靴』(1985)(http://us.imdb.com/title/tt0090052/)の上演が予告されていて楽しみにしていたのだが、結局上映中止になる。その代わりにアラン・キュニー監督の上記クローデル作品が上映されることになった。キュニーについては僕は名前を聞いたことがある程度。俳優として五〇年間の長きにわたって数多くの名作に参加している。IMDbでは監督として登録されているのは、クローデルのこの作品のみ。
これも滅多に観ることのできないクローデル作品ということで飯田橋まで足を運ぶ。
観客は15名ほど。この映画上映に尽力し、キュニーと友人だった渡辺守章夫人の挨拶。キュニーは晩年二年の間は精神病院暮らしだったそうで、この作品はまさに精神病院に入る直前に撮影が完了したことになる。
感想は少なくとも僕にとっては退屈極まりないくずのような映画だった。ぼそぼそと平板にしゃべる登場人物たち。雑で投げやりに感じられる単調な映像。時代設定は不明確だが、舞台は中世のフランスか。部屋の中央には招き猫の置物がなぜか鎮座しているし。晩年精神病院にいたという情報からの先入見かもしれないが、ひとりよがりというよりは、耄碌した老人の雑然とした狂気を覗き見するような、稀に見るひどい映画だった。
貴重な休日の午後の時間を浪費。