- 原作:ポール・クローデル Paul Claudel
- 補綴:鈴木英一
- 構成・演出:中村福助
- 出演:中村福助、藤間勘十郎、中村芝のぶ、和栗由起夫
- 音楽:常磐津文字兵衛
- 美術:金井勇一郎
- 照明:高山晴彦
- 場所:早稲田 早稲田大学大隈講堂
- 評価:☆☆☆☆★
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早稲田大学演劇博物館のCOEプログラム主催による学術公演。「歌舞伎」というより、クローデルが能と歌舞伎の舞踊から喚起されたイメージを自由に膨らませて作った舞踊による詩的表現。五代目中村福助によって1923年に初演されているが、今回の上演は音楽を一新し、舞踏家の和栗由起夫を加えるなどした、クローデルの原作に基づく翻案、新作舞踊にちかい形の上演。結果として、「学術的」公演らしからぬ、創意と現代性が大胆に導入された「象徴派」の舞踊となっていた。象徴派詩人の思い描いた日本の伝統芸能のデフォルメされた形が洗練された形で再現されていたように思う。演出・音楽に多少「やりすぎ」に感じられるところもあったけれど、個人的には非常に楽しめた舞台だった。
案外和栗由起夫という異分子が出演者の中でうまくなじんでいたように僕にはみえた。和楽器を使った音楽も時折現代音楽風の響きもあって非常に効果的だったように思う。
五代目福助上演時にはもちろん舞踏も存在しなかったわけだし、今日の公演ほどの洗練とスペクタクルはなかったはずだ。クローデルが生きてこの公演を見ていたら、自らデフォルメした日本が、さらにこのような形で再解釈したことに仰天したに違いない。
人気役者が出ている上、無料公演ということもあり大隈講堂は超満員の盛況。思わぬ掘り出し物公演。