閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

こやぎと狼

人形劇団プーク
http://www.puk.jp/

  • 作:中江隆介
  • 演出:岡本和彦
  • 人形:若林由美子
  • 音楽:長沢勝俊
  • 照明:阿部千賀子
  • 出演:佐藤達雄,荒川純子,市橋亜矢子,山田はるか
  • 劇場:新宿 プーク人形劇場
  • 評価:☆☆☆☆
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先月に引き続き,五歳の娘と新宿のプーク人形劇場へ.先月ほどの混雑ではなかったが,約100人を収容できる劇場の客席は9割がた埋まっていた.『こやぎと狼』の原作はグリム童話

ははやぎの留守中に狼が家に押し入り,一番末っ子の子ヤギを除く子ヤギたちを食べてしまう.ははやぎが家にもどり,生き残った子ヤギから事情を聞く.狼は近くで腹一杯になって眠り込んでいた.ははやぎは裁ちバサミで狼の腹を切り裂いて,食べられた子ヤギを救い出す.そして腹のなかに石を詰め込んだのち,腹を縫い合わせる.
目を覚ました狼は水を飲もうと井戸をのぞき込んだところ,腹の重みで井戸に墜ち,そのまま溺れ死んでしまう.

ずいぶんと残酷な,そしていかにもグリム童話らしいお話である.ストーリーは劇が進行するにつれ思い出した.娘も保育園で絵本で読んだことがあるらしい.原作では子ヤギの数は7ひきだそうだが,プーク版では3匹に数が減らされている.
狼が策略を使って家に押し入る場面や,狼の腹をはさみで切り裂いて石をつめる場面,そして最後の井戸に墜ちる場面,といった劇的な場面の作り方は手慣れた感じ.その先の展開が読めていても,大人の僕でさえ,観ていて緊張感が高まる.残酷な結末はどう処理するのかなと思っていたら,ヘンな加工をせず,そのままからっと表現していた.「ええっ」という声が出そうな無慈悲な狼の最期は,明るく脳天気な調子の歌とダンスのエンディングで流される.このあたりの処理は見事だった.