閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

無駄足日曜日

一日中雨模様の寒い日.午後からオデオン座で公演中の『リア王』を見に行くことにする.人気公演で前売りは売り切れだが,開演の二時間前から当日券の売り出しがあると情報誌に載っていた.
午前中はルーブル美術館で時間をつぶす.ティントレットの『天国』を主題とする企画展を観た後,『モナリザ』などのイタリア絵画セクション,19世紀のダヴィッドなどの超大作の部屋をのぞいて15,6世紀のフランス美術,17,18世紀のオランダ・ドイツ絵画の部屋をざっと回る.駆け足での鑑賞.家族と暮らしていると一日中誰とも話さないということはあり得ないので,久々の「一人暮らし」の休日を寡黙で過ごしていると,孤独感に襲われる.

二時間ほどルーブルで過ごしたあと,クリシーのオデオン劇場に.開演二時間前に窓口に行くが人がすでに行列を作っている.劇場スタッフの説明では当日券はない,キャンセル待ちだとのこと.キャンセル待ちリストに名前を記して,開演十五分前にもういちど来るように言われる.劇場そばのクイックでハンバーガーの昼食をとり,時間をつぶす.
開演30分前に劇場窓口に行ったが,結局キャンセル待ちは回ってこない.雨の中とぼとぼと劇場を後にする.
夕方から先日のオペラ座の『ドン・ジョバンニ』の演出をしたミハエル・ハネケの映画を上映していることがわかったので,いったんホテルに戻って時間をつぶしてから,その映画を見にいくことにする.ホテルに戻る前にベルビルに寄り,小さなスーパーでカップヌードル等を買う.ホテルで30分ほど休憩して外出.
映画の題名は『Cache』(最後のeにアクサンテギュ).『隠されたもの』の意味か?.映画館の場所はサン・ドニ通り.フランス語の映画だったが,台詞がほとんど聞き取れないことにショックを受ける.きわめて写実的な演技で,台詞も日常語だったのだが,ぼそぼそと早口でしゃべる夫婦間の会話が全くといっていいほどわからない..誰かに監視されていることにおびえるという話だが,台詞がわからないので内容も当然よくわからない.日本公開された折りにもう一度観てみたい.非常に悔しくナサケナイ気分でホテルに戻る.
夕食はホテルそばの中華総菜屋で.箸を手に入れる.今日も一日を無駄に過ごしてしまったような.