閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

Into the Woods

  • 作詞・作曲:スティーブン・ソンドハイム Stephen Sondheim
  • 台本:ジェイムズ・ラパイン James Lapine
  • 演出・振付:宮本亜門
  • 翻訳:橋本邦彦
  • 音楽監督:山下康介
  • 美術:礒沼陽子
  • 照明:中川隆一
  • 衣裳:朝月真次郎
  • 出演:諏訪マリー,小堺一機高畑淳子シルビア・グラブ,宮本せいら
  • 上演時間:3時間15分(休憩20分含む)
  • 劇場:初台 新国立劇場 中劇場
  • 評価:☆☆☆☆★
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2004年に好評を博した舞台の再演.グリム童話と「ジャックの豆の木」からくみ取った素材を自由に再構成して作った寓話的ミュージカル.一幕と二幕はほぼ同じ長さ.一幕は複数の素材のメルヘンを巧みに再構成し,原作の持つ世界観を素直に反映した牧歌劇.序盤のリズムは若干重いが,観客の期待をうまく引き出す展開や予定調和のハッピーエンドながら祝祭的雰囲気に満ちた幕切れの幸福感は心地よい.休憩を挟んで第二幕は,第一幕のエピソードの後日譚となる.この一幕と二幕はコインの表裏のような関係になっていて,一幕で提示されたエピソードが二幕では伏線として機能し,物語はいっそう深い奥行きを獲得することになる.エンディングの演出はとても感動的で,気を引き締めていないとだらしなく号泣してしまいそうな美しさ.
ソンドハイムの音楽はオペラのアリア調の美しい旋律の歌曲が多いが,諏訪マリーを除き,各役者は歌唱の点では若干のりが悪いように思えた.
役者という点では,夫妻役を演じた小堺一機高畑淳子の抑制された自己主張とニュアンスにとんだ喜劇味のある演技は印象的.また赤ずきんを演じた宮本せいらの溌剌とした演技は,じゃじゃ馬風女の子の定型の魅力をきっちりと踏まえていて,強烈な可愛らしさ.ちょっとだみ声ぎみの台詞の朗唱にも工夫が感じられた.
客席は8割の入り.一階,二階とも左右の端のほうに空席が目立つ.