- 上映時間101 分
- 製作国フランス
- 監督:クロード・ミレール Claude Miller
- 製作:アニー・ミレール Annie Miller
- 原作:アントン・チェーホフ Anton Chekhov
- 脚本:クロード・ミレール Claude Miller ジュリアン・ボワヴァン Julien Boivent
- 撮影:ジェラール・ド・バティスタ Gerard de Battista
- 出演:リュディヴィーヌ・サニエ Ludivine Sagnier,ニコール・ガルシア Nicole Garcia,ベルナール・ジロドー Bernard Giraudeau
- 評価:☆☆☆☆★
チェーホフの『かもめ』の翻案.舞台を現代のフランスのバカンス地(ブルターニュの島の別荘)に移し,原作の劇中劇は自主制作映画に置き換わっている.冒頭部ではバカンス地の美しい景観の映像が印象的.19世紀末のロシア・ブルジョワの退廃は,優れたダイアローグと性的描写によって現代のフランスの上流階級の倦怠とスノッブにたくみに変換されている.基本的にチェーホフの原作の展開を忠実に追った内容なのだが,最後には独自のひねりを加えている.いかにもフランス的なマリヴォー風の心理描写をチェーホフの世界に重ねたような優れた演出だと思った.
オゾンの作品で重要な役を演じているLudivine Sagnierが主人公としてファム・ファタルの役柄を演じる.たれ目童顔で野暮ったい顔つきなのだが,リュディヴィヌの白痴的「美貌」のエロチシズムが効果的に使われている.「白痴的」美ながら演技には,役者勘のよさ,頭のよさを感じる女優である.