- 作:梅野下風,近松保蔵(1786年)
- 出演;中村梅玉,中村芝雀,中村松江,中村歌江,中村玉太郎;市川男女蔵(歌舞伎の見方)
- 劇場:三宅坂 国立劇場大劇場
- 上演時間:二時間半(「歌舞伎の見方」および休憩含む)
- 評価:☆☆☆★
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男女蔵の「歌舞伎の見方」では,国立劇場付属学校研修生を舞台に上げ,その活動の紹介などを前半に行う.歌舞伎独自の約束事や上演演目の解説にもっと時間を使った方がよいように思うのだが.観客の学生を舞台にあげての実演指導は,昨年6月の亀三郎の観賞教室でも行っていたが,これで観客席は盛り上がる.全体の構成に今ひとつ工夫が見られない観賞教室だった.
「毛谷村」はあまり上演されたにという杉坂墓所の場との組み合わせ.大らかで直情的な六助の人柄や,お園の女丈夫ぶりとたおやかさのコントラストがもたらす喜劇味が魅力の好篇だとは思ったけれど,立ち回り,見得などスペクタクルとしてのおもしろみに欠け,若干冗長さを感じる.歌舞伎鑑賞教室の出し物としては地味すぎるような気もした.ただ子役の玉太郎の愛らしさ,幕切れのさわやさは心地よい.浄瑠璃の竹本清太夫の力のこもった朗唱ぶりにも引き込まれる.身体をよじり声を絞り出すその姿に,チョン・ミュンフンのエネルギッシュな指揮姿を連想してしまう.