演劇集団 円
- 原作:ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ
- 脚本:石塚千明
- 演出:平光琢也
- 美術:加藤ちか
- 照明:小笠原純
- 音楽:中川孝
- 衣装:西原梨恵
- 出演:橋爪功,吉見一豊,佐々木睦,高橋理恵子,高林由紀子
- 上演時間:二時間四五分(休憩一五分含む)
- 劇場:新宿 紀伊國屋ホール
- 評価:☆☆☆☆★
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上演時間から考えて原作第一部の「グレートヒェン悲劇」の部分だけの上演かと思えば,大幅な省略はあるとはいえ第一部,第二部の両方から素材を集めて作品は構成されていた.圧縮感のある雑然とした印象の作品となったが,それが舞台にエネルギーあふれる高揚感をもたらしていた.ファウスト役を演じた橋爪功をはじめとする役者の熱演ぶりもよく伝わってくる充実した舞台.演出は泥臭く,性的なモチーフの強調などで一見キッチュな舞台作りだが,テクストの読解は丁寧に行われている.果敢に意欲的な表現を取り入れているものの,その解釈は正統的であるように思った.原作の持つ「厚み」,文学性は損なわれていない.
主演の橋爪の存在感,異化作用は強烈で,初老のさえない日本人男性を代表するような風貌の橋爪功が演じるだけで『ファウスト』は和風の味付けになった.マルガレーテ役の高橋理恵子の驚異的な可愛らしさ(僕と同じ年生まれ!?)にも魅了される.