燐光群 プロデュース公演『組曲 二十世紀の孤独』
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/kodoku.html
- 作:別役実
- 演出:川畑秀樹
- 美術:池田ともゆき
- 照明:竹林功
- 出演:中山マリ,川中健次郎,他
- 上演時間:1時間40分
- 劇場:新宿三丁目 SPACE雑遊
- 評価:☆☆☆☆
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SPACE雑遊はコンクリートブロックの殺風景な壁に囲まれた70平米のほどの地下室.天井の高さも3メートルほど.客席は150席ほどで満席.客の年齢層はかなり高く,50,60代の観客の姿が目立つ.
作品は別役実が1970年代後半に演劇集団円のために書いた不条理コメディ.
街中とも山中ともとれるとある道ばたに,おそらくピクニックのために用意された様々な食料品が詰め込まれた多数のバスケットと一台の蓄音機が放置されている.そこにまず一組の親子,次いで薬売り,マラソン選手,最後に一組の夫婦が通りかかる.彼らの間に互いの面識はない.互いにばらばらにきわめて些末的な事象に関心を向けたまま,しっくりとかみ合わない会話を重ねる.しかしその上滑りの会話は確実に物語を進行させていく.最後にざっと観客は奈落へ突き落とされる.
きわめて人工的で純粋な戯曲.その乾いた風味は星新一のショート・ショートを連想させる.上滑りと反復をつづけさせながら,軽やかに確実に物語を展開させていく戯曲の構成は本当によくできている.演出も作品の持つ不条理さがもたらす笑いを巧みに強調していて飽きさせない.
作品の完成度は高く,舞台としても十分に面白かったのだが,その軽みゆえに猛烈な物足りなさも感じる.
こうした普遍的で抽象度の高い作品がかえってその作品の「時代」(古さ)を感じさせるのは逆説的.
アフタートークは演出家と坂手洋二と別役実の三人.坂手がうまく別役の話をひきだす.別役の話しぶりはぼけ味があって面白い.自作注解も明快で,観賞直後のもやもやとした感じに,言語表現が与えられた感じ.