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シェイクスピア・シアター
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:小田島雄志
演出:出口典雄
照明:尾村美明,秋草清美
衣裳:上地洋子,小野真理子
音楽:福島一幸
出演:松木良方(デンマーク国王),平澤智之(ハムレット),松本洋平(ボローニアス),島小百合(オフィーリア),茂木孝允(ホレーシオ),槇由紀子(ガートルード)
上演時間:2時間45分(休憩10分含む)
劇場:六本木 俳優座劇場
評価:☆☆☆☆★
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いつもながらの黒幕だけのシンプルな舞台.
平澤智之の創造したハムレット像に魅了される.さまざまな対立した性質が共存し,葛藤しあうこの主人公の複雑な心理を,軽やかな様式感とともに再現する平澤の充実した人物造形に感嘆する.彼の存在感あふれる演技は,名実ともに物語の展開の軸となり,刺激的な緊張感を舞台に作り出していた.ガートルードを演じた槇由紀子もよかった.島小百合はオフィーリアを演じるにはあの顔の造作と細すぎる体型は僕の好みではない.全体に今ひとつ華やかさに乏しいように思うのだ.
男優不足のため,この劇団では若い女優が男役を演じるが,この劇団の演出の枠組の中でも女が演じる男役はどうもさまにならず,彼女らがしゃべるたびに居心地の悪さを感じてしまう.
「運命」の気まぐれの不条理な残酷さを強調することによって,作品の悲劇的性格を浮きだたせる演出解釈は僕の好み.ハムレットの悲劇を俯瞰するフォーティンブラスのシーンもきっちりと演じられていることにも好感を持つ.
非常に質の高い「ハムレット」だったが,空席が目立ったのは本当に残念.