http://www.ntj.jac.go.jp/performance/705.html
- 作:真山青果
- 演出:真山美保
- 補綴・演出:織田鉱二
- 美術:伊藤熹朔,中嶋八郎
- 出演:中村吉右衛門(大石内蔵助),中村信二郎(片岡源五右衛門),中村歌六(小野寺十内,奥田孫太夫)中村歌昇(多門伝八郎,堀部安兵衛),中村富十郎(井関徳兵衛),中村梅玉(浅野内匠頭),中村種太郎(大石松之丞)
- 上演時間:四時間半(休憩10分×3,30分含む)
- 劇場:三宅坂 国立劇場
- 評価:☆☆☆
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真山青果の超大作『元禄忠臣蔵』全編を三ヶ月間で上演するという企画の最初の月.吉右衛門の内蔵助で『江戸城の刃傷』『第二の使者』『最後の大評定』の三編,六幕十二場の上演.浅野内匠頭の内面の葛藤を美しく静かに描いた『江戸城の刃傷』はそれなりに楽しんで観ることができたのだが,とにかくやたらに説明的な台詞のやりとりが延々と続くお芝居で『第二の使者』以降は夢うつつを行きつ戻りつしながらの我慢の観賞となってしまった.
中村吉右衛門のいかにも芝居臭い芝居もどこがいいのか正直よくわからない.
劇場は満員御礼だったがなぜこんな陰気な時代劇にお客が入るのか僕には正直理解できない.主君への忠義という封建的な倫理観は,かっちりとした様式の中で表現されるのならともかく,論理的な対話のやりとりと写実的な芝居の中での再現は違和感が大きい.そもそも「忠臣蔵」という主題自体,なぜ現在に至るまで多くの作家のインスピレーションを刺激するのか,実のところ僕にはよくわからないのだ.この昭和歌舞伎の超大作の全編公演に立ち会う機会はもうないかもしれない.あと二ヶ月も我慢を強いられることになるかもしれないが,溝口健二によって映画化もされ,昭和の新歌舞伎の中でもとりわけ評価の高いこの作品,通して観ることで「忠臣蔵」という主題について自分なりに見極めておきたい.