閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ズビズビ.

http://www.g-mop.com/nextstage/index.html
劇団M.O.P.第四一回公演

  • 作・演出:マキノノゾミ
  • 美術:奥村泰彦
  • 照明:大川貴啓
  • 音楽:川崎晴美
  • 衣裳:三大寺志保美
  • 出演:キムラ緑子三上市朗小市慢太郎,勝平ともこ,酒井高陽
  • 上演時間:二時間二〇分(休憩一〇分含む)
  • 劇場:新宿 紀伊國屋ホール
  • 評価:☆☆☆
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昨年冬にマキノノゾミ演出・訳によるテレンス・ラティガン作『セパレート・テーブルズ』に大きな感銘を受けたので,彼が主宰する劇団M.O.P.の舞台も一度見てみたいと思っていた.『ズビズビ.』は4つの独立したお話からなるオムニバス作品だった.このオムニバス形式は,昨年マキノが演出した『セパレート・テーブルズ』から思いついたとプログラムの彼の文章にある.『セパレート・テーブルズ』は二幕形式で,一幕と二幕では別の物語になっていた.しかし舞台となっているのは同じホテルの食堂で,ホテル支配人はその両方に登場していた.『ズビズビ.』では楽屋という設定を共有してはいるものの,各話の登場人物は別で時代や劇場も異なっている.第一話では「ハムレット」上演舞台のかつての銀幕スターの楽屋,二幕目は旅回りの大衆演劇劇団の楽屋,休憩を挟んで三幕目はとある新劇劇団の上演の楽日の楽屋で役者と裏方が登場人物,四幕目は戦後の場末のキャバレーの楽屋でジャズ楽団が登場人物.それぞれの物語に輝きのある趣向は含まれているのだけど,お話自体は予定調和で奥行きに乏しい.ユーモアのセンスや「泣かせ」は商業演劇的なセンスで僕には若干期待はずれだった.ごく標準的な出来の短編娯楽小説が4つ並んでいる感じで.微妙で多彩な変化の照明効果と美術の協調はときおりはっとされるような美しい舞台風景を作り出していた.四幕目のモノトーンのセピア一色の舞台風景はとても印象的だった.
来場者プレゼントは出演俳優のポストカード五枚組.公演を重ねている劇団なのでコアなファンもいるのだろうけど,中年男性・女性のプロマイドというのは「お土産」としてもらってもうなり声がでてしまう.