http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000054.html
- 作曲:ジョアキーノ・ロッシーニ Gioacchino Rossini (1792―1868)
- 原作:ボーマルシェ Pierre Augustin Caron de Beaumarchais (1732―99)
- 台本:チェーザレ・ステルビーニ
- 指揮:ミケーレ・カルッリ Michele Carulli
- 演出:ヨーゼフ・E・ケップリンガー Josef E. Kopplinger
- 衣裳・美術:ハイドルン・シュメルツァー Heidrun Schmelzer
- 照明:八木麻紀
- 出演:ローレンス・ブラウンリー Lawrence Brownlee(アルマヴィーヴァ伯爵),ダニエラ・バルチェッローナDaniela Barcellona(ロジーナ),マウリツィオ・ムラーロMaurizio Muraro(バルトロ),ラッセル・ブラウンRussell Braun(フィガロ)
- 上演時間:3時間10分(休憩30分を含む)
- 劇場:初台 新国立劇場オペラ劇場
- 評価:☆☆☆☆
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パステルっぽい色彩で飾られた三層の建物が物語の舞台になる.回り舞台を効果的に使い,展開のテンポのよさが印象的な舞台だった.舞台は1960年代後半のフランコ政権下のスペインに置き換えられていて,右手には売春宿.この置き換えの「意味づけ」については僕はわからなかった.プログラムを購入すれば説明されているのだろうが.売春宿は演出上それほど効果的に使われていたようには思えなかった.
作品の喜劇性については,舞台美術や展開,さらに意図的な小さな「脱線」など才気あふれる演出家の工夫にもかかわらず,バルトロ役のムラーロを除いては喜劇性をうまく引き出す芸に乏しい.白けた雰囲気こそなかったが,客の反応はおおむねクール.
音楽のパフォーマンスのレベルは高かったと思う.こちらの体調がいまひとつで始終睡魔と格闘しながらの観劇だったのだが,ロジーナ役のバルチェッローナ,アルマヴィーヴァ伯役のブラウンリーのアリアの豊かさには一気に覚醒し聞き入ってしまう.
4階D席での鑑賞だったが死角がけっこう大きい.上演前,休憩後の2幕目開演前に通路に係員が来て前のめりにならないようとの注意があった.かなり急勾配なので前の座席で前のめりになると,ますます死角は大きくなってしまう.クレームも多いのだろう.もっとも3150円でオペラを観ているわけだから,多少の不便は仕方ない.オペラグラスを忘れてしまったことを悔やむ.