閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

オフィーリア・マシーン

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千賀ゆう子企画

  • 構成・演出:千賀ゆう子
  • 美術:山田卓生
  • 照明:橋本剛
  • 音響:りは
  • 舞台監督:国井聡
  • 出演:千賀ゆう子,相田東子,小館愛乃,加藤翠,木下祐子,五月女ナオミ,羽鳥嘉郎,清水周介,田中泰二郎(舞踏)
  • 上演時間:1時間25分
  • 劇場:両国 シアターΧ
  • 評価:☆☆☆
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入場すると舞台の左右に置かれた二つの巨大なオブジェが目に入る.高さ4メートルほどで,左側のオブジェはステンレスの管や扇風機など金属系の廃棄物を積み上げたもの,もう一方は空きペットボトルを使った透明の管状の物体を組み合わせて作ったプラスチック系廃棄物の堆積.この二つのオブジェはいかにも現代美術のインスタレーション風でかなりかっこいい.その他,地上から4メートルぐらいのところにつるされたブランコに黒い衣裳を着たおじさんが座ってゆらゆらと揺れている.黒いヴェールで顔を隠し,洋装の喪服を身にまとった6人の女がドアぐらいの大きさのステンレス枠を持ち運びながらうろうろと動き回っている.神経質そうな青年が客席の通路をつぶやきながら行ったり来たり.
はったり満点の開演前の演出に期待が高まる.『オフィーリア・マシーン』はミュラーの『ハムレット・マシーン』ほかいくつかのテクストの断片を自由に構成した詩のリーディング・パフォーマンスのような舞台だった.だいたい10分ぐらいの場面の連続で構成されているが,その場面のつながりは明確なロジックというよりはむしろ自由な連想によってどんどん展開していく感じである.
けれんたっぷりの仕掛けはよい.さぁ驚かせてもらおうじゃないか,と待ちかまえていたのだけど,今では揶揄的な注釈の対象にしかならないような時代錯誤な「前衛的」シーンにはあまり目新しさがない.日本近代史の事件をフェミニズム運動の歴史にからめ次々と朗読する部分は陳腐といえば陳腐なのだけどそれなりに面白かったのだけれども.演技のテンションにほとんど変化が感じられず,あざとい仕掛けのわりにはものすごく単調に感じられる舞台だった.1時間25分は長すぎる.
6人のオフェーリアのうちつるんとした肌の卵顔の女優の美貌を目で追って時間をつぶす.若い男の子の俳優,二人はどちらも可愛らしい体型と顔立ち.雰囲気はとてもよかった.