http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
- 上映時間 141分
- 製作国 アメリカ
- 監督: クリント・イーストウッド
- 製作総指揮: ポール・ハギス
- 原作: 栗林忠道 吉田津由子 (編)『「玉砕総指揮官」の絵手紙』(小学館文庫刊)
- 原案: アイリス・ヤマシタ ポール・ハギス
- 脚本: アイリス・ヤマシタ
- 撮影: トム・スターン
- 音楽: クリント・イーストウッド
- 出演: 渡辺謙 二宮和也 伊原剛志 加瀬亮 松崎悠希 中村獅童
- 劇場: 豊島園 ユナイテッド・シネマとしまえん
- 評価: ☆☆☆☆
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
今年最後に劇場で見る映画.『父親たちの星条旗』が硫黄島戦場とアメリカ本土の二つの時間と場所を交錯させることで戦争を多面的に描こうとしたのに対し,『硫黄島』は徹底して硫黄島の戦闘の過程を日本側から描く.アメリカ映画にもかかわらず,ダイアローグ,演出とも僕は全く不自然さを感じなかった.元馬術オリンピック選手のバロン西の役柄はちょっと浮いている感じもしたが,俳優はそれぞれ好演.
抽象的・情緒的な意味合いでない戦争の怖さ,戦闘の恐怖がリアルに伝わってくる作品だった.グロテスクな殺人描写はそれほど多くはないのだが,99%以上死ぬという状況可で感じるであろう極度のストレスを追体験させるような展開と映像が続く.戦争映画の楽しみ方はスプラッタ恐怖映画と似たところがあることに気づく.老人観客がけっこういたけれど,この映画はとても心臓に悪い.
語り部の一兵卒(二宮和也が好演)の人物設定が秀逸である.地方都市のパン屋という庶民ではあるが,軍隊に対してはシニカルな視点を持つ現実主義者という性格をこの役柄にあてることで戦争映画のステレオタイプから逃れている.この人物設定ゆえに殺戮のサスペンスシーンを,情緒に陥らず,硬質で客観的な映像で提示することができた.
後味はすっきりとはいかないが,かすかなカタルシスも暗示させるイーストウッドならではのもの.
丁寧に考証・取材したことが感じられる秀作ではあるものの,やはり重く暗い.年最後の作品はもっと陽気なものにすべきだったなぁ.