閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

金壺親父恋達引(かなつぼおやじこいのたてひき)

人形劇団プーク2007年お正月特別お年玉!公演

今年の初芝居はプークの人形劇公演とあった.
ポルトガル・ギターとマンドリンのデュオ,マリオネットのコンサートと組み合わせた公演.客席はほぼ満員の盛況だった.
モリエールの代表作『守銭奴』を井上ひさし文楽用に一幕もの喜劇として翻案した作品.初演は1972年.舞台は江戸の商家に変更されている.初演は文楽なので台詞は義太夫節で語られていたとのこと.プーク版では音楽をポルトガル・ギターとマンドリンおよびギターのデュオであるマリオネットが担当し,語り役の役者を入るが,基本的に人形を操作する役者が台詞をしゃべる.またマリオネットの音楽以外に,舞台右端に効果音を演奏する役者をひとり配置していた.マリオネットの音楽は最初のうちは若干うるさく感じたが,徐々に気にならなくなった.半抽象・半具象的な美術は紀伊國屋ホールの舞台では若干がらんとして頼りない感じでそのデザインのねらいもいまひとつよくわからない.人形の造型はユーモラスで親しみがもてる.
モリエールの性格喜劇は,人間の性格の類型を精緻な台詞のやりとりで造型するが,プーク版では人形劇らしく登場人物の類型化をさらに極端に推し進め,笑劇的要素を強調した演出となっていた.原作で丁寧に描かれる人間関係の錯綜のなかでの様々な葛藤のドラマは弱まったものの,お正月にふさわしいからっとした軽い仕上がりの心地よい後味の舞台に仕上がっていた.人形のユーモラスな動きを要所でうまく遣い,観客の笑いを誘っていた.