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200冊を越えるという世界思想社の「〜を学ぶ人のために」シリーズの新刊.本文242ページ,付録54ページ.20人の執筆者はおおむね現在の日本におけるフランス中世文学の第一人者をそろえているといえ,研究入門書としては記述の充実および堅実さの点で十分に推薦に値する内容となっている.おそらく日本語で現在読める中世フランス文学概観としては最も優れたものだろう.しかしいったい今の大学の学生で「フランス中世文学」を学びたい人間がいったいどれほどいるのか.文学自体人気が凋落しているし,その中でもフランス文学は人気下落が激しい領域,さらに古語を読む必要のある中世文学となると,全国レベルで考えても三桁はいないはずだ.大学院レベルで言うと,中世フランス文学専攻の学生より中世フランス文学を現在専門としている専任の先生の数のほうが圧倒的に多いはずだ.この著作の出版が中世フランス語フランス文学を志す学生を掘り起こすきっかけになればいいのだが.