寿初春大歌舞伎 夜の部
- 劇場:東銀座 歌舞伎座
- 作:中邑阿契・豊竹応律・黒蔵主・三津飲子・浅田一鳥
- 出演:松本幸四郎(松永大膳),坂東玉三郎(雪姫),市川左團次(十河軍平実は佐藤正清),中村吉右衛門(此下東吉),中村梅玉(狩野之介直信)
- 上演時間:一時間半
- 評価:☆☆☆★
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寿初春大歌舞伎 夜の部は家を出るのが遅れてしまったため,最初の舞踊,「廓三番叟」は見逃す.
「金閣寺」は義太夫狂言,時代物の定番演目の一つのようだが,僕は初見.一時間半の上演時間のうち,最初の一時間はしゃべっている言葉はよくわからないし,大膳と東吉が舞台の中央付近でひたすら囲碁を打ちながらぶつぶつ言っているだけなので,退屈し睡魔が襲ってくる.最後の30分,雪姫の「爪先鼠」以降,スペクタクル豊かな緊張感ある場面が続き,覚醒する.玉三郎の雪姫が美しい.美しい姫を縄で縛って自由を奪うとったところにSM的な倒錯したエロスがある.この屈折したエロティシズムの美学がいかにも歌舞伎っぽい.お話は荒唐無稽.最後の部分の密度を濃厚にしてたたみかけるようにエンディングに持って行く.歌舞伎的な様式美を堪能する.