閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

金閣寺(『祇園祭礼信仰記』1757年)

寿初春大歌舞伎 夜の部

寿初春大歌舞伎 夜の部は家を出るのが遅れてしまったため,最初の舞踊,「廓三番叟」は見逃す.
金閣寺」は義太夫狂言,時代物の定番演目の一つのようだが,僕は初見.一時間半の上演時間のうち,最初の一時間はしゃべっている言葉はよくわからないし,大膳と東吉が舞台の中央付近でひたすら囲碁を打ちながらぶつぶつ言っているだけなので,退屈し睡魔が襲ってくる.最後の30分,雪姫の「爪先鼠」以降,スペクタクル豊かな緊張感ある場面が続き,覚醒する.玉三郎の雪姫が美しい.美しい姫を縄で縛って自由を奪うとったところにSM的な倒錯したエロスがある.この屈折したエロティシズムの美学がいかにも歌舞伎っぽい.お話は荒唐無稽.最後の部分の密度を濃厚にしてたたみかけるようにエンディングに持って行く.歌舞伎的な様式美を堪能する.