庭劇団ペニノ
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- 作・演出:タニノクロウ
- 舞台監督:矢島健
- 美術:田中敏恵
- 照明:今西理恵
- 出演:久保井研(唐組)、飯田一期、山田一彰、山田伊久麿、瀬口タエコ、五十嵐操
- 劇場:下北沢 下北沢駅前劇場
- 上演時間:約二時間
- 評価:☆☆☆☆☆
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昨年一月にアゴラ劇場で観て大きな衝撃を受けた「ダークマスター」の再演に匹敵するような強烈なインパクトのある公演だった。大怪作であると同時に大傑作でもある。
舞台上に再現された1970年代(明示はされないが、部屋に置かれた電話機や家電などの型から)の海辺沿いの田舎町にある木造アパートの部屋の徹底したリアリズムはまず圧倒される。一階の二部屋が舞台上で並んでいる。左側の部屋には四五才の独身の漁師が住んでいて、人望の厚い彼の元には上の階に住む仲間の若い漁師がしょっちゅう出入りしている。右側の部屋は最初は無人。しばらくしてずいぶん衰弱し、痴呆もあるように見受けられる「小さな」老女が入居してくる。彼女のもとには陰気な「介護士」の女性が日々通って献身的に世話をしている。
精緻に練り上げられたに違いない台詞のやりとりによってこの両者の日常がリアルに再現されるだけの舞台なのだが、そのリアルの目の付け所が極めて悪趣味でありかつ独創的だ。各登場人物は、芝居外の背景もしっかりと構想された上で人物造型されているような感じで、それが芝居に厚みを与えている。
コビト俳優のマメ山田の使い方が悪魔的にうまい。我々が「コビト」に接したときの居心地の悪さを有効に活用している。
ごく平凡な日常を徹底した緻密さで写実的に描くことで、その日常の奥にひそむグロテスクさを拡大提示する手際の見事さに感嘆する。