偽ドキュメンタリー.こちらは素材自体がかなり作為的なので,偽ドキュメンタリーとしての完成度は先日見た「不詳の人」のほうが上であるように思ったが,この作品もまた山下敦弘らしいシニカルな精神に満ちた佳作である.
刑事にしてアダルト・ビデオの汁男優というあり得ない男性に焦点を当てる.この極度の強さと極度のナサケナサを共存させた危険な男を演じる山本剛史の「超」名演が光る.徹底的にばかばかしいナンセンス喜劇ではあるが,「偽」ドキュメンタリーとして成立させるための演出上の仕掛けの精巧さは,名人芸の域に達している.制作者の遊び心のセンスを楽しむ.