閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

いとこ同志

いとこ同志 [DVD]

上映時間 110分
製作国 フランス
初公開年月 1959/10/
監督: クロード・シャブロル
製作: クロード・シャブロル
脚本: クロード・シャブロル
撮影: アンリ・ドカエ
音楽: ポール・ミスラキ
出演: ジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ、ジュリエット・メニエル
評価: ☆☆☆☆★

初期ヌーヴェル・ヴァーグを代表する傑作として、シャブロルの名前と作品名ぐらいは見聞きしていたが、作品そのものは今回が初見である。一昨年、シアタートラムで坂手洋二作の同じタイトルの芝居を観て感銘を受け、1959年公開のこの作品にも関心を持ったのだが、内容的なつながりはないようだ。

[以下、内容に触れる箇所あり]
パリで享楽的な生活を送るぼんぼん学生の豪華アパートに、同い年のいとこが同居し始める。この田舎からやってきた青年は、パリのいとことは対照的な人物で、不器用で生真面目、そして母親への手紙を欠かさないマザコンである。フロランスという男たちの玩具であることに喜びを見いだしているかのような美女が、彼ら二人の間に入ってくる。彼女の存在は田舎出の純朴な男を混乱させてしまう。
皮肉と残酷さに満ちた展開は観客の期待を鮮やかに裏切る。観客が共感を抱くに違いない人物は「運命」に徹底的にいたぶられてしまう。そうこれは伝統的な「運命の女神」の物語の現代版だ。
シャープなモノクロの映像の美しさとワーグナーの官能的な音楽の使い方が、洗煉された雰囲気を作り出している。
フロランス役のジュリエット・メニエルのコケットリーの強烈な吸引力も印象的な作品。