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九編の小説を収録する短編集.中年世代の不安,特に家族の問題を女性の視点から描いた小説が多いが,いかにも篠田節子らしいSF的な発想の作品も含まれる.僕が読んでいる現役の娯楽小説の書き手の中では,篠田節子の想像力はずばぬけて奇妙でいびつであるように思える.時にその想像力の過剰さゆえ,作品が破綻してしまうこともあるが,僕にとってはその破綻も含めたエネルギーが篠田の小説の魅力だ.
九編,粒ぞろいの好編ばかりというわけではないが,日常の中に潜むグロテスクな要素を拡大する篠田の手腕は十分に楽しむことができた.