閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

法界坊

五月大歌舞伎@新橋演舞場 夜の部

隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ):法界坊

  • 作:奈河七五三助(1784)

    序幕  第一場 向島大七入口の場
        第二場 同座敷の場
        第三場 向島牛の御前鳥居前の場
    第二幕 向島三囲土手の場
    大喜利 隅田川渡船の場

          聖天町法界坊  吉右衛門
            娘おくみ  芝 雀
           若党五百平  歌 昇
            手代要助  錦之助
           息女野分姫  染五郎
            丁稚長太  玉太郎
          永楽屋おらく  吉之丞
         大阪屋源右衛門  歌 六
           道具屋甚三  富十郎

  浄瑠璃 双面水照月

     法界坊の霊/野分姫の霊  染五郎
          渡し守おしづ  福 助
     手代要助実は吉田松若丸  錦之助
            娘おくみ  芝 雀

  • 評価:☆☆☆

丁稚役の玉太郎のルックスの可愛らしさはおそるべき力を持つ。歌舞伎の子役はどの子も可愛らしいが、玉太郎は別格という感じ。もうちょっと声が大きいとよかったのだが。どこか軽々しくおきゃんな雰囲気のある芝雀の町娘おくみ、落ち着いたたたずまいのおらく役の吉之丞、どっしりとした存在感のある富十郎の甚三、ひな人形のような典雅な風貌の錦之助の要助、ひょうひょうとした味のある番頭演じる吉三郎など、個々の役者はそれぞれしっかり演じているのだけれども、全般的に退屈で眠気との戦いとなった「法界坊」だった。アンサンブルとしては弱いなぁといったかんじ。二年前に歌舞伎座で見た勘三郎=串田和美版「法界坊」はぼくにはとても面白い作品だったので、吉右衛門版の正統派「法界坊」への期待は大きかったのだが。
正直なところ、吉右衛門演じる法界坊があまり面白くないのだ。きっちりと丁寧に喜劇を演じているように見えるのにもかかわらず滑稽味に欠けている。観客の人気を根こそぎもっていきそうな喜劇的な主役にもかかわらず、キャラクターが浮かび上がってこない。
こちらの体調の問題もあったのかもしれないけれど。
二時間あまりが実に長く感じられる舞台だった。