閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

おねがい放課後

ハイバイ公演
http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/

青年団の役者の中でも抜群の存在感を示す志賀廣太郎の主演作品ということで関心を持った。志賀廣太郎は一年で四歳分年をとる奇病にかかっている高校生という役柄。ちょっと考えると現実に老化が以上に早く進んでしまう難病が存在するだけに、こうした設定を喜劇の枠組みで使うのには慎重であるべきである。しかしこの設定の奇抜さ、馬鹿馬鹿しさと、志賀廣太郎が若い役者の中でどう高校生を演じるかという関心、志賀と同じく青年団に所属する個性的な中年俳優、古舘寛治が出演する作品だということに好奇心をかきたてられる。
ハイバイの公演を見るのは今回が初めてだった。舞台の両側に客席が階段状に設置される。会場はほぼ満席。若い観客が心なしか多いように思えた。舞台美術はごく簡素なもの。歌舞伎の所作台のような板張りの細長い舞台空間の上に椅子と机、布団などが置いてあるだけ。シェイクスピアの肖像画が壁面にかかっている。高校の演劇部という設定。
部分部分では爆笑させられたところもあったが(古舘の支離滅裂で論理破綻のいいわけの場面とか)、全体としてかなり物足りない。志賀廣太郎の個性と一年で3歳分年をとってしまう男という根幹となる設定が脚本でうまく生かされているとは言い難いように僕は思った。
劇中劇の『ハムレット』の挿入もねらいが不明瞭。アフレコっぽい演出はおかしかったけれど。場面場面の客受けを優先した学生演劇のような雰囲気の芝居だった。せっかく個性的な名優を使っているのにもったいない。人の三倍年をとってしまうという特殊な状況が作品の設定としてしっかりと利用されていないのに不満を持つ。

おまけのプレビューのプレビュー的なコントはよくできていた。個々のパートのアイデアは面白いのだけれども、脚本の大きな流れの中でそうしたアイデアがうまく生かされていないような印象を持つ。