文学座 公演
7/13(金)22:25〜24:40 NHK教育「芸術劇場」
http://www.bungakuza.com/nukegara07/index.html
- 作:佃典彦
- 演出:松本祐子
- 装置:石井強司
- 照明:金 英秀
- 音響効果:藤田赤目
- 衣裳:出川淳子
- 舞台監督:三上 博
- 出演:若松泰弘、飯沼 慧、鵜澤秀行、関 輝雄、高橋克明、佐藤 淳、柳橋朋典、山本郁子、太田志津香、添田園子、奥山美代子
- 劇場:南新宿 紀伊國屋サザンシアター2007年5月8日(火)〜17日(木)
- 上演時間:二時間二〇分
- 評価:☆☆☆☆★
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この五月に紀伊國屋サザンシアターで再演された舞台のテレビ放映。
妻との離婚係争のただ中にある四〇歳をいくつか過ぎた男が主人公。妻とは別居中で、高齢の両親とともに古びた県営住宅に住んでいたが、母親が急死。その葬儀の翌日から痴呆がはじまっていた父親が昆虫のように「脱皮」をはじめ、一日一日若返っていく。男は若かりし頃の父親と向き合うことになる。
日常的なドラマとスラプスティックな設定の結合が独特の雰囲気を作品に与えている。
私自身、子供を持つようになってから、今の僕と同じ年の父があの頃いったい何を考えていたのだろう、と想像することがしばしばある。この作品では過去の父親との再会は常に喜劇的枠組みの中で提示されるが、笑いと同時に強烈な切なさのような感情もその邂逅の場面ではわき上がってくる。決して再会することのできない、まさに自分の分身のようないとおしい存在である父親の姿を舞台上で見た観客の多くは、同時に自分の父親との関係にも思いをはせるのではないだろうか。今の僕は、かつての僕と同じ年代であった父と、猛烈に話をしてみたい。いろいろなことを聞いてみたい。この絶対に叶えられない願望を、この作品はくみ上げてくれるような気がした。