閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

夏の夜の夢

子供のためのシェイクスピアカンパニー

  • 作:ウィリアム・シェイクスピア
  • 訳:小田島雄志
  • 脚本・演出:山崎清介
  • 照明:山口暁
  • 衣裳:三大寺志保美
  • 出演:佐藤誓、伊沢磨紀、福井貴一、土屋良太、大内めぐみ、キム・テイ、山崎清介、戸谷昌弘、山口雅義
  • 劇場:新大久保 東京グローブ座
  • 評価:☆☆☆☆
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東京楽日公演。「子供のための」というカンパニー名に相応しく、今日は夏休みに入ったためか、子供観客もかなりたくさんいた。
笑劇風のベタなギャグを多めに取り入れ、町人たちによる素人芝居の場面には、観客もよく反応していて笑っていた。しかし幕切れ前の劇中劇では笑いはとっていたものの、全体にうまく組み込まれておらず、蛇足感が強い。この劇中劇をスムーズに全体の中に統合することに成功している演出には滅多に出会わないのだけれど、今回も山崎演出にしては創意に乏しい感じがして僕はちょっと退屈してしまった。前半はともかく、後半が若干重く、単調な舞台。夜の芝居だから仕方ないとはいえ、ずーっと暗めの舞台も眠気を誘う。
しかし黒マントを脱ぎ捨てると登場人物が出現するやり方、手拍子の音楽、スピーディでシャープな展開はいつもながらとてもかっこいい。
導入部とエンディングをリンクさせている。この作品を演出する演出家は、まずあの妖精パックのあの美しい後口上をどう提示するか頭を絞るのではないだろうか。あのメタシアター的構造を強調する台詞の美しさには毎回感動を覚えるのだけれど、今回の「子供のため」での演出も豊かで詩的な余韻を残す、元テクストの魅力を十分に引き出すものであった。
終わりよければすべてよし、という感じか。