- 作：シェイクスピア
- 訳：小田島雄志
- 脚本：今井豊茂
- 演出：蜷川幸雄
- 美術：金井勇一郎
- 照明：原田昇
- 出演：尾上菊之助、尾上菊五郎、市川亀治郎、市川左団次、中村翫雀、中村錦之助、中村時蔵
- 劇場：東銀座 歌舞伎座
- 評価：☆☆☆☆★
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予想よりずっと面白かった。
ジェンダーを行ったりきたりすることで生じるエロティシズムがこの恋物語の核であるが、歌舞伎でやるとこの危うさがより自然なかたちで強調されるように思った。
男装して獅子丸となった菊之助演じる琵琶姫は、感情の高ぶりが思わず抑え切れなくなったときに、地の女の部分が声の調子や仕草に現れる。その現れ方が実に巧みだった。
性の混乱による喜劇味も効果的に提示されていた。
菊之助だけでなく、菊五郎、時蔵、翫雀、亀治郎、左團次などの面々も、それぞれ自分の持ち味を十分に生かして、特徴的な役柄を浮き上がらせることに成功していたように思う。
変化に富むビジュアル面の美しさ、邦楽と洋楽のコンビネーションのうまさ、展開のつながりのよさなども印象に残る、完成度の高い舞台だった。
