- 作者: メーテルリンク,Maurice Maeterlinck,堀口大学
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/03/22
- メディア: 文庫
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評価:☆☆☆☆
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こんな古典作品に僕如きが今更「評価」などおこがましすぎるのではあるが。とりあえずの読後の個人的印象を「評価」とする。新潮文庫版は1960年初版となっている。古書の100円コーナーで購入。読むのは実はこれが初めてである。購入した文庫本は1980年に松本零士の作画デザインで、フジテレビで『メーテルリンクの青い鳥 チルチル ミチルの冒険旅行』というタイトルでアニメ放映された時期に刷られたもののようで、カバーにはそのアニメの画像が使われている。1980年だと僕はちょうど小学生で、『999』などの松本零士アニメが大流行していたころだと思うのだが、このアニメについては見た記憶がない。機会があればぜひ見てみたい。
原作は5幕16場で、戯曲としてはかなり長尺である。ペローやグリムなどの童話の定型を巧みにもちいた寓意幻想劇で、こうしたアレゴリーを用いた芝居は西洋では15,6世紀に盛んにつくられたモラリテ(道徳劇)と呼ばれるジャンルまでさかのぼることができる。
各場に格言的な寓意に満ちた美しい幻想が提示されるものの、実際に舞台で上演されるには、全場の上演だとかなりだれてしまうだろうなという感じがする。戯曲の作り自体も必ずしも上演を前提としていないように思える。
人口に膾炙し、幸福の象徴としての「青い鳥」は桜田淳子のヒット曲によって僕には幼いころから馴染みがあったのだけれど、作品が中世風の時代遅れのスタイルをかなり忠実に踏まえた幻想劇であることを知り、新たにこの戯曲に対する好奇心が大きくなった。