閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

小坊主ずいてん/おれはママじゃない

人形劇団プーク
http://www.puk.jp/

  • 出演:山田はるか、市橋亜矢子、岡本和彦、門田晃
  • 劇場:新宿 プーク人形劇場

『小坊主ずいてん』

  • 作:斎藤隆介(『ずいてん』(新日本出版社刊)より)
  • 脚色:星野毅
  • 演出:長谷詔夫
  • 人形美術:岡部久義
  • 装置:斉藤英一
  • 音楽:長澤勝俊
  • 照明:飯島隆
  • 音響:中出隆
  • 時間:35分
  • 評価:☆☆☆
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『おれはママじゃない!』

  • 原作:みやもとただお
  • 脚色・演出:井上幸子
  • 美術:入澤祥子
  • 音楽:マリオネット(湯淺隆、吉田剛士)
  • 照明:阿部千賀子
  • 音響:伊藤美幸
  • 時間:25分
  • 評価:☆☆☆☆
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娘と娘の保育園時代からのお友達一名(男)を連れて、プーク人形劇を見に行く。「おれはママじゃない!」と「小坊主ずいてん」」の二本立て。
「オレはママじゃない!」は2006年1月に今回とは別のキャストで見ている。僕がはじめて見たプーク作品である。アヒルの子とワニという本来なら「食べる-食べられる」関係の異種動物間でで、疑似親子関係が徐々にはぐくまれていく様子をほのぼのと描いた作品。出遣いで役者の表情なども芝居のポイントとなる。ワニとアヒルが泥遊びしたり水浴びしたときの水音などの効果音の使い方のうまさ、そしてマンドリンとギターのデュオであるマリオネットの音楽が印象に残る。話自体はよくあるパターンのもので展開に新鮮味は全くないのだけれど、アヒルの子供の無邪気な可愛らしさとワニの無骨で不器用な愛情表現の推移のほのぼの感がうまく表現されていて僕は好きな作品だ。初演のときも気に入ったけれど(それでプークの公演に通うようになったわけだが)、今回もいいなと思った。
「小坊主ずいてん」は新作のようだ[ではないとのことだ。レパートリーの一つだそうだ]。いたずら好きのきつねと腕白な小坊主がお寺を舞台に、だましだまされの大騒動を描くおはなし。きつねが渡したまんじゅうが実はきつねのうんこだったという最初のスカトロ・ギャグ、そうくるだろなと思ったし、子供は喜ぶだろうけれど、食べ物ネタだけに僕はあまり愉快な気分になれない。その後は元気いっぱいのずいてんときつねのじゃれないのようないたずら騒動が続く。人形もあまり可愛らしくないし、展開ののりもいまひとつぎごちない感じがあった。僕の印象は今ひとつ。今日の二本立てでは僕は「おれはママじゃない!」のほうがはるかに完成度が高いように思ったし、お話としても好きだ。
しかし二人の子供たちに「どっちがよかった?」と聞くと二人とも「ずいてん」と即答した。「どこが面白かった?」と聞くと、「ふたりがおっかけっこをするところ」、「最後に仲良しになるところ」、「仏像の片目が開くところ」、「きつねがお釜のなかにいれられてこまってしまうところ」だそうだ。なるほど。なんか今回は子供のほうが僕よりちゃんと芝居を観ているような気がした。