閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ロミオORジュリエット

http://www.nibroll.com/romeoorjuliet/Nibroll-Romeo_or_Juliet/News.html

ニブロールは初見。
映像、音楽、衣裳、美術はとても洗練されていてかっこいい。肝心の舞踊の部分のよさやそのコンセプトの面白さについては僕にはよくわからなかったのだけど。舞台上に吊るされる紗幕や舞台背景から床にかけて映し出される映像のかっこよさはとりわけ印象に残る。バラバラと固まって落ちてきた感じが床のところでそのもつれが解体され、意味のあるテクストとして床をながれ落ちていくイメージであるとか、細い白い光線によって組まれた網の目がゆらゆらと波のように自在に形を変化させる冒頭の場面の映像であるとか、映像的インスタレーションとしての完成度は極めて高く、その表現も多彩で独創的だ。
《ロミオORジュリエット》というタイトルを意識して公演を見ていたのだけれども、タイトルと実際に上演されている作品との相関関係についてはよくわからなかった。独りよがりの連想ゲーム的に連関していく展開を真面目に追いかけていくのはちょっとしんどい。心地よい環境ビデオを見ているような雰囲気、あるいはおしゃれイメージの企業の広告映像というか、かなり強烈な誘眠効果のある舞台で1時間20分のうち半分ほどは夢想の中にいた。一言で言ってものすごくスカした舞台。二十代のころの自分だったらこうしたかっこよさにはしびれていたのかもしれないけれど。