閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

プールソニャック氏 Monsieur de Pourceaugnac

池袋小劇場
http://homepage2.nifty.com/ikeshou/

  • 作:モリエール
  • 演出:関きよし
  • 台本:赤木三郎
  • 音楽:安達元彦
  • 美術:幡野寛
  • 照明:川崎ひろし
  • 出演:あぶみ雅代、大橋真琴、久保田ヒデコ、田崎紀子、やまだたけし、清水あくた
  • 上演時間:1時間45分
  • 劇場:池袋 池袋小劇場
  • 評価:☆☆
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劇団初見。70人ほどの劇場。客の年齢層はかなり高かった。モリエールの作品でもあまり見る機会のない作品の上演ということで関心を持った。作品はもともと舞踊と作曲家のリュリの音楽と組み合わせたコメディ・バレとして上演された作品だとのこと。今回の上演では音楽はオリジナルのものが使われていた。この劇団のレパートリーの一つのようだ。
コメディ・デラルテ風の仮面をつけた役者が演じる小芝居が続いて演じられる本筋の内容を圧縮したものになっているといった工夫は面白かった。この「要約」の部分では役者は人形ぶりで動く。
しかし時折挟まれるミュージカル・シーンの悪夢のようなありさまには頭を抱えたくなる。冗談じゃないかと思うくらい稚拙なのだ。狙った稚拙さなのだろうか。しかもこうしたミュージカル・シーンは芝居を冗漫なものにしている。
台詞のやりとりのリズムも停滞しがちのうえ、一部の役者の台詞はこの大きさの劇場にも関わらず声が小さくてよく聞き取れない。客席情報に暖房機があり、旧式の暖房のせいかかなり大きな騒音が出ている。この騒音に台詞がかき消されてしまうのだ。
田舎者をよってたかってからかってなぶるいじめ残酷笑劇にも関わらず、変に道徳的な解釈が介入するのも気に入らない。いじめを率先してやっていた登場人物が、いじめられて故郷に戻っていくプールソニャックに同情するのだ。
音楽の稚拙さも狙ったものであるかもしれないけれど、僕にはとうてい効果的には思えなかった。むしろテクストの笑劇的リズムの阻害となっている。ほんとにこんなモリエールで満足なんだろうか、やっているほうも、見ているほうも!?
絶句、嘆息。
ヒロイン役の女優が本当に美人だったのが救い。