キラリ☆ふじみで創る芝居
- 原作:ウィリアム・シェイクスピア
- 翻訳:松岡和子(ちくま文庫より)
- 総合プロデュース:生田萬(キラリ☆ふじみ芸術監督)
- 演出:菅尾友(第1幕)×富永まい(第2幕)×多田淳之介(第3・4・5幕)
- 音楽(第二幕):福原まり
- 朗読(第二幕):Lynne Hobdy
- 美術・衣裳:中里有
- 照明:伊藤泰行
- 音響:泉田雄太
- 出演:石橋亜希子(青年団)、尾倉ケント(アイサツ)、北澤政章(さいたまゴールドシアター)、夏目慎也(東京デスロック)、松田弘子(青年団)、田中寿直
- 劇場:鶴瀬 キラリ☆ふじみメインホール
- 上演時間:二時間十分
- 満足度:☆☆☆☆★
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三人の若い演出家によってシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の各幕がリレー式に演出されるという企画。各演出家同士が互いを過剰に意識しすぎて、実験的・先鋭的ではあるがひとりよがりな表現が並ぶ舞台になってしまうのではないかと見る前は思っていたのだけれど、一つの作品の中での競作という試みはよい方向に作用したようである。各幕とも意欲的で斬新な舞台表現に満ちた刺激的な『ロミオとジュリエット』だった。今年になってこれまで僕が見た芝居の中では最も印象に残る作品となった。キラリ☆ふじみは、都心がらかなり遠い最寄りの駅からもかなり離れたところにある交通の便のよくない劇場だが、わざわざ行って見るだけの価値は十分ある公演だと思う。
自由な解釈から引き出される多彩な表現は、作品を荒々しく破壊的にデフォルメする。しかしその破壊は斬新な創造へとつながっていくものだ。二幕の発想には本当に驚いた。極めて悪趣味であると同時に、崇高ささえ感じるような美しい解放感に満ちた恋愛の風景が提示される。三幕の濃厚さと強度も衝撃的だ。