閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

五月大歌舞伎 夜の部

新橋演舞場

通し狂言 東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)

  • 序 幕 第一場 浅草観音額堂の場;第二場 按摩宅悦内の場;第三場 浅草田圃地蔵前の場;第四場 同 裏田圃の場
  • 二幕目 第一場 伊右衛門浪宅の場;第二場 伊藤喜兵衛内の場;第三場 元の浪宅の場
  • 三幕目 砂村隠亡堀の場
  • 大 詰 第一場 蛇山庵室の場;第二場 仇討の場
  • 配役
  • 上演時間:4時間20分(休憩30分、20分)
  • 評価:☆☆☆☆
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『四谷怪談』の通しは2年前、コクーン歌舞伎の新バージョン、「北番」で、今回上演されなかった「三角屋敷」の場を含むものを見たけれど、今日の舞台のほうが僕は楽しめた。伝統的な演出でもこの演目は十二分に面白い。
暗い場面が続くにもかかわらず眠くはならなかった。
「髪梳き」の場でお岩が苦しみ、醜い姿に変わっていく様子を、テンポを落としてねっとりと執拗にに再現していく。その嗜虐的変態性がとても印象的だった。
幕切れの場のさまざまな歌舞伎的なしかけも楽しい。ドラマとけれんの両面で歌舞伎を堪能した。
福助のお岩はグロテスクが強調され、おどろおどろしいが、その過剰さがかもし出す奇妙な愛嬌もある。