歌舞伎スペクタクルの面白さを存分に味わうことのできる娯楽性満点の痛快な舞台だった。
派手な仕掛けの充実ぶり、そして勘三郎の役者力を大いに楽しんで満足する。
ろうそくの火の照明の舅殺害の場面と最後の大立ち回りで、背景が崩れ、劇場の外へと駆け抜けていく団七という演出は事前にわかっていても、こちらの気持ちを高揚させる。
でもスペクタクル超過で、その分、ドラマの部分の面白さが減じていたような気もした。串田演出はスペクタクルの斬新さも魅力だが、歌舞伎台本をドラマとして現代的な視点から読み込み、再構成する点もまた魅力だったように思うのだけど。
破格に楽して華やかな魅力に満ちた舞台ではあったけれど、若干、かすかではあるものの物足りなさも感じる。
