閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

醜い男

tpt 71
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  • 作:マリウス・フォン・マイエンブル
  • 演出:トーマス・オリヴァー・ニーハウス
  • 訳:林立騎
  • セット:松岡泉
  • 照明:笠原俊明
  • 衣装:原まさみ
  • 音響:長野朋美
  • 出演:池下重大、武田優子、小谷真一、田村 元
  • 劇場:横浜 馬車道 BankART Studio NYK /3Cギャラリー
  • 上演時間:70分
  • 評価:☆☆☆☆★
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横浜の湾岸にある元倉庫での上演。この上演の場がものすごくかっこいい。
受付をすませた後「劇場」に案内されるのだけれど、そこには外廊下から回り込むようにして入らなければならない。その外廊下への扉を開けると絶景が目の前に現れる。灰色の埠頭が並ぶ海港の風景が眼下に広がる。そして廊下の伸びる方向にそって左手正面を向くと、大観覧車とランドマークタワーが光っている。いかにも俗な夜景じゃないか!って感じだけれど、その光で彩られた夜景が殺風景なコンクリート倉庫の向こう側に見えるので、その明暗のコントラストに鮮やかさに感動してしまった。そのハデハデしく俗なモニュメントと手前の海港の殺風景な風景の対比がとてもいい感じなのだ。
そして扉を開けて入る「劇場」の風景にも意外性があった。入り口のドアを開けるとがらんとした、学校体育館ほどの広さのコンクリートの打ちっ放しの空間である。太い円柱が並んで天井を支えている。客席はその一番奥に、三段ぐらいの高さでひっそりとある。

この空間の趣向の素晴らしさにまずやられしまった。シニカルな風刺劇を急速なテンポで展開させる舞台演出も、この空間の特性を十全に生かしたかっこいいものだった。