閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

トウキョウソナタ

http://tokyosonata.com/index.html

一見リアルな雰囲気であるが、実はリアリティに乏しい台詞や登場人物の振る舞いに最初のうちはとまどう。しかしこのリアリティの乏しさは意図的なものであることがわかってくる。戯画化され、誇張された日常風景、ちょっとエキセントリックな人物たちが、静謐さを感じさせる物語展開のなかで表現される寓話的作品なのだ。その微妙にずれた日常風景がかもし出す違和感が可笑しい。
ばらばらに分裂していく家族は最後の最後に美しい音楽の調べとともにぎごちないながらも調和をとりもどす。選曲がとてもいい。音楽にごまかされてしまった感じもあるのだけれど、へんてこな展開のうそっぽいお話なのに、最後の場面にはじんとしてしまった。小泉今日子の投げやりでアンニュイな雰囲気がとてもいい。