閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ラ・チェネレントラ

METライブビューイング
http://www.shochiku.co.jp/met/index.html#theater

  • 作曲:ロッシーニ
  • 指揮:マリツィオ・ベニーニ
  • 演出:チェーザレ・リエーヴィ
  • 出演:エリーナ・ガランチャ、ローレンス・ブラウンリー、マレッサンドロ・コルベッリ、シモーネ・アルベルギーニ、ジョン・レリエ
  • 上演時間:3時間20分(本編)
  • 映画館:新宿ピカデリー
  • 評価:☆☆☆☆
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タイトル・ロールを演じたメゾ・ソプラノ、エリーナ・ガランチャにすっかり魅了されてしまう。軽やかでのびのあるコロラトゥーラは、こちらの聴覚に心地よく働きかけ、生理的な快感を呼び起こす。そして聴いて楽しいだけでなく、見てっくれもいい。オペラのヒロインもやはり顔が大事。顔立ち・体型の見た目も純真可憐なシンデレラを演じるに違和感のない愛らしさだった。ロッシーニの親しみやすく美しい旋律の数々も存分に楽しんだ。各歌手に歌の見せ場をきっちり作っているので中盤から後半にかけての展開は冗長に感じられ、退屈してしまう場面もあったが、歌唱芸術としてのオペラの喜びを十分に堪能できる舞台だった。
演技演出も実に細かく施されていて、歌手たちの喜劇芝居が実にうまい。
ただ舞台美術には特色がなく、各幕を通して変化も乏しかったので、スペクタクル面では物足りなさを感じた。

エリーナ・ガランチャは来シーズンのMETでは《ホフマン物語》に出演するとのこと。この《チェンレントラ》で彼女の魅力を知ったからには見に行かないわけにはいかない。必見の舞台。

新宿ピカデリーで朝10時からの上映だったが、狭めの部屋とはいえ座席は8割がた埋まっていた。METライブビューイングは始まって今年が3年目だと思ったけれど、認知度もあがり、客足も伸びてきたかんじがある。来年度のシーズンは9作品が上映されるとのこと。