閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

チカパンのパントマイム・ワークショップ

座・高円寺企画
あしたの劇場「遊ぼうよ!」
みんなの作業場 第二回「チカパンと遊んじゃおう パントマイム」
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=36

                            • -

五月にオープンした座・高円寺は大人・一般向けの演劇公演だけでなく、子ども向きの公演とワークショップも継続的に行う方針のようだ。
毎週日曜の午前中には「みんなの作業場」という6歳から15歳の子どもを対象にしたさまざまな表現のアトリエが開催される。先週と今週がその第1、2回だったが、お試し期間ということで無料だった。

今日のプログラムは僕がファンの女性のパントマイミスト、チカパンによる子ども向けのパントマイム・ワークショップということで興味をそそられ、8歳の娘と娘の友達に参加申し込みをしてもらったのだ。本人たちもパントマイムの表現に興味を持っていたみたいだし。子ども向きプログラムなので、僕がワークショップの様子が見られないとつまらないなと思っていたら、親も参加可能ということで、僕も一緒に体験した。

10時半から12時半までの2時間のプログラム。途中5分ほどの休憩は入ったけれど、2時間子どもたちを退屈させずに動き回らせるのは相当な重労働であるはずである。参加者は大人を合わせて25名ほどだった。

対象年齢は大まかに6歳から15歳までとなっていたが、実際には小学校1、2年生ぐらいの子どもが中心で、僕の娘が子どものなかでは最年長の部類だった。僕は小学校中学年から高学年の子どもが中心ではないかと考えていたのでちょっととまどった。ただちょっと考えてみると小学校中学年以上になると子供同士の遊びが中心になり、となると劇場に足を運ぶというのはかなり敷居が高くなるに違いない。またパントマイムや演劇を実際に観た子供でないとこうした試みに興味は持たないだろうし。本格的なワークショップではないにせよ、3月には発表会もあるとパンフレットには記載されていたので、それなりに「お稽古ごと」的なワークショップを行うのではと思っていたのだけれど、少なくとも今予定されている形では、発表会という場を作ることはかなり難題であるように思った。各週で行われるアトリエの内容は様々だし、そこに参加するしないの自由度は大きいし、参加者は保護者同伴ということで必然的に小学校低学年中心、親がよっぽど熱心でないかぎり受動的な参加となるからである。

今回のワークショップの内容も参加者の中心となる低学年向きのものにアレンジされていたように思った。大人が童心に戻って無邪気に参加して楽しめる内容でもあったが、3歳ぐらいの子供からでも参加可能の内容だったのではないだろうか。
最初はチカパンが模範演技をいくつか披露するイントロダクション。目玉ぎょろぎょろと朝の慌ただしい情景を表現したパントマイムを見る。それからパントマイムの定番中の定番である「見えない壁」の演技の練習。二人組になって相手が手に持っているアルミホイルの動きを体で模倣する身体遊び、「ソフトクリームを食べる」動作をパントマイムでどのように誇張して表現するかについて、それから芋虫と蝶を手で表現する。最後は宝島探検をチカパンが提示した「見立て」に従って行って、最後に各自が見つけた宝物の内容を身振り動作で表現する、といったことを行った。ぎごちない雰囲気が半ばぐらいまであったけれど、盛りだくさんで、短く感じられた二時間だった。
チカパンの柔らかでユーモラスな表現は大人の僕が見ても心を浮き立たせる魅力があるのだけれど、そのチカパンのデモンストレーションに見入る子供たちの嬉しそうな表情を見るのも引率者としては大きな喜びだ。つれてきてよかったなあと思う。

パントマイムのワークショップとしては踏み込みが浅くて物足りなさも感じたのだけれど、楽しい2時間を過ごすことができた。座・高円寺での「みんなの作業場」の9月までの予定表でチカパンのワークショップは今回の一回だけ。4回か5回で完結するシリーズでチカパンのワークショップの企画があればまた子供と一緒に出てみたいのだけれど。他のアトリエ企画はタイトルからは今ひとつ何をやるのかがはっきり見えてこない。劇場でやる子供向きアトリエなのだから、演劇関係のワークショップが充実すればいいのになと思う。