燐光群
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/bug.html
ー作:トレイシー・レッツ Tracy Letts
ー訳・演出:坂手洋二
ー美術:島次郎
ー照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
ー音響:島猛(ステージオフィス)
ー衣裳:宮本宣子
ー舞台監督:高橋淳一
ー出演:西山水木 大西孝洋 猪熊恒和 川中健次郎 宮島千栄
ー上演時間:1時間45分(休憩2分)
ー劇場:下北沢 ザ・スズナリ
ー評価:☆☆☆☆
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作者は1965年生まれのアメリカの作家。昨年『BUG』とは別の作品でトニー賞、ピュリッツァー賞を受賞しているとのこと。『BUG』は舞台作品として発表されたが、映画化もされ昨年上映されたようだ。映画版の脚本もレッツが担当している。
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2009/01/23
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タイトルが示すとおり「虫」を主題とする作品である。コンピュータ用語としてのバグ、「システムを狂わせる欠陥」としての意味合いも重ねられているようにも思える。
アメリカの田舎の寂れたモーテルが舞台。一人暮らしの中年女性がこのモーテルの一室に居住している。そこに服役を終えた元夫、同性愛者の女友達、そしてその女友達が連れ込んだ身元不明の男がやってくる。女はこの身元不明の男と共同生活を始める。
翻訳・演出の坂手洋二曰く、前半はいかにも「サム・シェパード風のイイ話」が展開していくような雰囲気なのだ。よるべのない孤独で不安定な男女が魂を摺り合わせて、次第に心を許し、近づいて行くといった感じの。それが徐々に機械の歯車が合わなくなったかのように調子が狂い始める。劇冒頭からかすかに聞こえていた不協和音の響きが段々と大きくなり、最後にはその不協和音が割れんばかりの大音響で鳴り響く。明確な社会批判・風刺のメッセージを示しつつも、最終的には男女の愛の究極的なありよう、得体の知れなさが描かれているように思った。ちょっとサラ・ケインを連想させるところもある。
思わず笑ってしまうくらいエキセントリックにエスカレートしていく狂気の姿、人間のもろさを、西山水木と大西孝洋の気迫に満ちた演技は見事に表現していた。悲鳴が舞台上で充満しているかのような最後の場面は圧巻だった。
燐光群らしい重量感のある暑苦しい芝居だ。サイコ・ホラーの秀作。見終わったあとはちょっとぐったり。