閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ろじ式 〜とおくから、呼び声が、きこえる〜

維新派
http://festival-tokyo.jp/program/ishinha/

  • 作・演出:松本雄吉
  • 音楽:内橋和久
  • 舞台監督:大田和司
  • 美術:柴田隆弘
  • 音響:佐藤武紀
  • 照明:吉本有輝子
  • 舞台:羽柴英明
  • 衣装:維新派衣裳部
  • メイク:名村ミサ
  • 上演時間:100分
  • 劇場:にしすがも創造舎
  • 評価:☆☆☆☆★
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僕が初めて見た維新派の作品は2007年にさいたまで上演された『nostalgia』だった。シュールレアリスム絵画の世界を連想させる夢幻的な舞台に魅了された。豊かなイメージ喚起力により、舞台を見ながら遠い異世界へと誘われるような感覚に酔うことができた。僕はこういった種類のスペクタクルがもともととても好きなのだ。

『ろじ式』は僕にとっては生で見る二度目の維新派作品である。各10分ほどの長さの10の詩的な群像スペクタクルには、単調、退屈に感じられる時間もあったけれど、そこで提示されるイメージの数々はおおむね僕の好みに合うもので、大いにこちらの想像力は刺激された。五〇センチほどの高さの木枠の立方体が舞台上に並べられる。木枠のなかには化石や骨の標本が中空につるされている。白塗り顔の演者はその立方体を移動させながら、幻影の場を作り上げていく。語呂合わせなどを使った音の反復、様々な方向から歌い出されるテクストの断片の交唱、連想ゲームのように連なり徐々にずれていく言葉が心地よい。各場面が水の波紋が重なるように重層的なイメージを生み出していく。黄昏のような微妙な変化を持つ照明の効果が素晴らしい。ノスタルジックでユーモラスな絵画的世界を満喫した。

劇場外の旧小学校運動場にはかなり大がかりな屋台村ができていた。「ろじしきのろじ」と題される企画。バンドが演奏するステージと何軒かの飲食店が並んでいる。モンゴルパン(500円)を買って食べた。ちょっとケバブに似ている。パンは塩味、バターが効いていておいしかった。中身はカレー味のミンチと野菜。
こういう雰囲気のところに、一人で来て、しかも酒が飲めないってのは、かなり寂しい。