人形劇団プーク
http://www.puk.jp/kouen.htm
「てぶくろを買いに」
- 原作:新美南吉
- 脚色・演出:柴崎喜彦
- 美術:入澤祥子
- 音楽:庄子智一
- 照明:阿部千賀子
- 評価:☆☆★
人形音楽バラエティー「くるみ割り人形」
- 構成・演出プラン:川尻泰司
- 演出:長谷詔夫
- 編曲:宮崎尚志
- 美術:若林由美子
- 照明:阿部千賀子
- 評価:☆☆☆☆
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- 出演:大橋友子、滝本妃呂美、伊井治彦、油利衆、亀井佑子
- 劇場:新宿 紀伊國屋ホール
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人形音楽バラエティー「くるみ割り人形」と新美南吉の有名な童話が原作の「てぶくろを買いに」の二本立て。
「くるみ割り人形」はとても面白かった。ボードビル風に音楽を背景に、幻想的でエキゾチックな場面が次々と展開する。紀伊国屋ホールの舞台の広さを生かしたダイナミックな動きもあった。各場でギミックに満ちた多彩な人形表現を楽しむことができた。
お話のないボードビル風人形劇と「てぶくろを買いに」という物語劇との組み合わせは悪くない。「てぶくろを買いには」は好きな話なので、その人形劇版の上演はとても楽しみにしていた。だが「てぶくろを買いに」はあまりよくなかった。脚色が気に入らない。原作のエピソードをパラフレーズすることで四〇分の劇として広げようとしているのだけれど、展開のリズムが失われ、徒らに冗長な作品になってしまった。芸術的な視点からではなく、時間枠の都合に合わせて無理矢理話を引き延ばしているように思えた。
人形の造形は可愛らしかったけれど、人間と狐の出会いの場面の緊張感、雪景色、夜の町の表現など、演出面の工夫の面でも不満を感じた。今日の舞台版はパラフレーズによって説明が増えることにより作品世界が平板なものになり、原作に漂う叙情の豊かさ、母親の最後の問いかけの台詞がもたらす余韻の深さなどが弱まってしまった。
原作のある作品を人形劇化することが多いプークだけれど、パラフレーズして原作を引き延ばすのは難しい。「てぶくろをかいに」のように、きっちりと組み立てられた、完結した世界を持つ一編の詩のようなテクストはなおさらだ。帰宅してから「てぶくろをかいに」を再読した。ことばや文章の間の距離感が絶妙だ。