閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

Dr.パルナサスの鏡

http://www.parnassus.jp/index.html
Dr.パルナサスの鏡(2009) THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS

悪夢系ファンタジーの傑作。中世の聖史劇、道徳寓意劇を連想させる山車での見せ物小屋興行という現代のロンドンの町の組み合わせが優れた対比効果を生み出す。鏡の向こう側の世界は、ダリやタンギーなどのシュールレアリスムの画家たちの世界が映像化されたかのようだ。不気味で、どこか狂っていて、だからこそ引き込まれてしまうような歪んだ幻想世界である。女優リリー・コールの表情のいびつさが可愛いらしいし、こびと役者の人物造形が実にいい。あの異形性こそ、この映画の世界の核であるような気がする。