- 上映時間:99分
- 製作国:フランス/ポーランド/スイス
- 初公開年月:1994/07/
- 監督:クシシュトフ・キエシロフスキー
- 製作:クシシュトフ・キエシロフスキー、マラン・カルミッツ
- 脚本:クシシュトフ・キエシロフスキー
- 撮影:スワヴォミール・イジャック
- 音楽:ズビグニエフ・プレイスネル
- 出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・レジャン、エレーヌ・ヴァンサン、フローレンス・ペルネル
- 映画館:高田馬場 早稲田松竹
- 評価:☆☆☆★
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早稲田松竹では五月後半の二週間、キェシロフスキの特集だ。今週は『白の愛』と『赤の愛』の二本立て。キェシロフスキの作品は91年の『二人のベロニカ』は公開時に見ていてとても印象に残っているのだけれど、その後のトリコロール三部作は公開当時かなり話題になったにも関わらず見ていなかった。「愛」についてのシリアスで気取った映画を続けて三本見るのは何となくうっとうしく思って当時何となく敬遠していたのだ。
「白」にはジュリー・デルピー、「青」にはジュリエット・ビノシュというフランスを代表する美人女優がフィーチャーされている。私は作品の面からも、女優の面からも「白」のほうが好きだ。「白」はちょっとコメディ・タッチだ。「青」は交通事故で有名な現代作曲家である夫と娘を失って絶望した妻の話でひたすら陰鬱。途中でがーっと入る音楽もうっとうしい。
「白」のジュリー・デルピーの妖精のような美しさと地味だけれど奥深いエロチックな魅力がとても素晴らしい。そりゃあんな妻がいれば、ポーランド人がおかしくなるのも無理はない。どちらも退屈することなく、女優の魅力を味わい、物語展開も楽しんで観ることはできたけれど、両作品で描かれる女性心理の変化には納得できない。「白」では、異国生活のストレスで不能になってしまった夫をあんなに冷淡に追っ払った妻が最後に見せる優しさを私は素直に受け入れることができない。「青」のラストの心変わりについてもやはり納得しがたい。