閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

美女と野獣 (1946) LA BELLE ET LA BETE

  • 上映時間:95分
  • 初公開年月:1948/01/
  • 監督:ジャン・コクトー
  • 製作:アンドレ・ポールヴェ
  • 原作:ルプラン・ド・ボーモン
  • 脚本:ジャン・コクトー
  • 撮影:アンリ・アルカン
  • 音楽:ジョルジュ・オーリック
  • 出演:ジャン・マレー、ジョゼット・デイ
  • 評価:☆☆☆★
                                                        • -

若くて美人であればあれほどまでの高慢さが許されるというのか。実際そうだし、そういう「呼び名」だから仕方ないけれど、「bete, bete(獣、バカ)」と若い娘に呼ばれるなんて。ベルの圧倒的な美貌の前におどおどと卑屈になってしまう野獣に哀れを感じ、感情移入してしまう。エンディング、あれはないよなーと思ってしまう。いかにもおとぎ話っぽい不条理な終わり方だが。
映画の雰囲気自体がおとぎ話そのもので展開も昔の映画らしくゆったりとしていて心地よいのだがが、自分には少々じれったくもたついた感じがする。この古典のよさを味わうための感受性が私には欠如しているようだ。
フランス語タイトル、定冠詞付きの普通名詞だ。ベルとベットは固有名詞というよりも寓意的存在ということなのだろう。あらゆる民話はそうなのであるが、この作品も寓意教訓物語としての性格が極めて強い。
説明的な描写を省いたコクトーの映画版では、美という価値の不条理なまでの強さと冷酷さが強調されているように思う。ディズニーのアニメ版、ボーモンの原作と比較してみたい。

美女と野獣 [DVD] FRT-270

美女と野獣 [DVD] FRT-270